« なんのための守備か | Main | きらきらひかる »

2004.04.19

判断・決断・実行

サッカーの魅力とは?

とあるシンポジウムでそんな問いがあった。
パネリストの何人かは「(手に比べれば)不自由な脚でボールを扱うこと」でどうボールが、そしてゲームが転がるかわからないという面白さ、と言った。
その答えを踏まえ、最後のパネリストはこう言った。
「決断の連続であること」
状況を判断し、なにをするか決断し、実行する、その繰り返しがサッカーである。また、決断には選手のパーソナリティが反映されるから、もし同じ状況であっても選手が違えば選択するプレーも変わる、それが繰り返される、だから予想もしないプレーが生まれ、そこが最大の魅力だと。

妙に納得した。感覚として捉えていたものを明確に言葉にしてもらったという感じだ。
よく言われる「フットボールは人生の縮図」なんてことも、「判断、決断、実行」の繰り返しであると考えれば確かに同じ。違うのは、サッカーの場合はそれを「瞬時に」行うということだけだ。

現実にゲーム中、決断したことをそのとおりに実行するには技術が要る。いま指揮官が嘆いているのはこの点だろう。やろうとしていることができていない、やれるだけの力量がない、と。
けれど、本当にそれだけが問題なのか?
状況判断から決断までには、コンマ数秒の間に何通りものプレーをイメージしていずれかを選択しなくてはならない。そこには様々な要素が含まれる。自分の長所や味方選手の個性、相手の特性、時間帯、スコア、審判のジャッジ傾向etc...
やっかいなことに、人間がやる以上はそこに「心理」というものも働く。それは感情であり、経験という名の記憶であり、精神状態である。それが人数分ピッチに現れる(11倍ではなく11乗になってしまう、と言ったのは加藤久氏だ。これも納得)
たとえ状況が悪くても、それが不利とは限らない。10人のチームが勝ったりするのは役割が明確化され責任感が増すからで、イケイケの大逆転劇が起こるのはたった1点が勇気になりますます積極性が発揮されるからだ。
逆に、見ていて「なんかヤバい雰囲気」とか「流れが悪いな」なんて感じるのは、選手のマイナス心理がピッチに蔓延してる時。だから消極的なプレーを選択したり、相手に圧されてしまったり、変に気負ったりして尚更自分を窮地に追い込む。
まさにいま、ベガルタがはまり込んでいるドツボの正体がこれだ。

真に強いアスリートは自らの心をコントロールすることができる。
そしてまた、真に優秀な指導者は選手の心をプラスに転化することに長けている。「相手は人間である」のを忘れていないということでもある。
「心技体」とはよく言ったもので、どれだけ素晴らしい身体能力を持っていても技術が伴わなければ生かせない、けれど身体も技術も、すべてを司るのは精神である。
そこをおろそかにしては強くはなれない。

「続・気持ちの問題を考える」、以上。

《蛇足》
ちなみに、冒頭の回答は清水秀彦氏のもの。
決断が必要であるからこそ、選手の自主性と自立が大事と語っていたことも書き添えておく(つくづく正反対。選手も対応が大変だったろう……)

|

« なんのための守備か | Main | きらきらひかる »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 判断・決断・実行:

« なんのための守備か | Main | きらきらひかる »